古民家リフォームという選択

〜丹波篠山市で出会う、心を耕す暮らし〜

「こんな暮らし、いいなあ」

ある休日、田舎道を走っていたときにふと出会った、瓦屋根と木製建具の古民家。その縁側で、談笑する家族。そんな光景をイメージしてみてください。

こんにちは。地元で工務店を営んでおります有限会社クレアです。

「そんな昔のドラマみたいな光景」ばかりではありませんが、そんな光景があるのが丹波なのです。

今日は、古民家リフォームの魅力、そしてそれが叶う場所「丹波篠山市」について、私自身の経験を交えながらお話ししたいと思います。


いま、なぜ古民家なのか

かつて「朽ちゆくもの」と見られていた古民家。

しかし今、その姿にあらためて光が当たっています。全国に点在する築100年以上の家屋に、もう一度命を吹き込む。これは単なる建物の改修ではなく、文化の継承であり、持続可能な暮らしの実現でもあります。

この動きの背景には、いくつかの大きな理由があります。


本物の素材が持つ力

現代の住宅ではなかなか見られない、太く立派な梁、無垢の床材、漆喰や土壁の質感。これらは、経年変化を味方につける素材たちです。長い年月をかけて「家そのものが育つ」、そんな感覚が、古民家にはあります。


暮らし方の変化

リモートワークや地方移住が当たり前になりつつある今、「もう一度、“自然のリズム”に寄り添って暮らしてみたい」そんな思いはありませんか。

忙しすぎる日々の中で、ふと立ち止まりたくなったとき。古民家という選択肢が、多くの人の心に浮かび始めています。

資源を活かす、という選択

スクラップ・アンド・ビルドではなく、“あるものを丁寧に使う”という姿勢。これは、私たちが次の世代へ手渡せる大切な価値観でもあります。


古民家のポテンシャルと現実的なメリット

古民家物件は、実は価格面でも魅力的です。築年数がある分、お手頃な価格で広い土地と家を手に入れられることが多い。広い庭や畑スペースが付いている場合もあり、「家のすぐ横に菜園畑」「庭で子どもとBBQ」なんて暮らしも夢ではありません。

そして、何より…家と風景がつながっているのです。そこに暮らしがあるんです。都会では味わえない開放感や四季の移ろいが、日々の生活に彩りを添えてくれます。


理想の舞台:丹波篠山市という場所

兵庫県の中東部に位置する「丹波篠山市」。このまちは、昔ながらの城下町の風情を残しつつ、田畑や山に囲まれた自然豊かな土地です。

そして、大阪・神戸から車でおよそ1時間半という抜群のアクセス。利便性と静けさが共存するこの地域は、“トカイナカ”という言葉がぴったりです。

私たちのクレアも、丹波篠山の中で数多くの古民家を手がけてきました。中でも、住宅支援の一環として展開されている「丹波篠山の家」のモデルハウスは、私たちが施工を担当しています。地域の気候風土に根差した設計と、自然素材の心地よさ。そこに住むご家族が笑顔になるような家づくりを、日々心がけています。


古民家再生のリアル

丹波篠山市には、江戸末期から昭和初期の古民家が多く残っており、町家風の建物や、土間・蔵のある農家住宅まで、実に多様です。

こうした建物の多くは、その土地に合った暮らしの知恵が随所に見られます。夏の風の通し方、冬の日射しの取り入れ方。家そのものが“自然と共に生きる”工夫を教えてくれるのです。

加えて、地元には経験豊富な職人さんが多く在籍しています。漆喰を塗り直す左官職人、大工、建具職人、庭師——「本物を残したい」と願う気持ちに、応えてくれる人たちがここにはいます。


暮らしは、地域とともに育つ

移住して一番感じるのは、「人とのつながりが暮らしを豊かにする」ということです。

篠山では、移住者を温かく迎える文化が息づいており、地域行事や農作業の手伝いなど、自然と地域と関わる場面が増えていきます。

実際に、空き家を改修してカフェにした方や、移住後に地元農家と一緒に無農薬野菜の栽培を始めた方もいます。古民家が“場”となり、人の流れや出会いを生み出していく。そんな事例を、私は何度も見てきました。


定年後、第二の人生を古民家で

最近では、定年を機に古民家へ移住されるご夫婦も増えています。

たとえば、60代のご夫婦で大阪から篠山へ移り住まれたSさん夫妻。現役時代はマンション暮らしだったそうですが、「朝、鳥の声で目覚めるような暮らしがしたいね」という何気ない会話から、移住を本気で考え始めたそうです。

Sさんご夫婦が購入したのは、築80年の農家住宅。納屋は趣味の陶芸スペースに、畑ではご主人が無農薬野菜づくりを楽しんでおられます。

「毎日が“ちょっとした発見”の連続で、退屈する暇がないんです」と笑いながら話すその姿に、こちらまで嬉しくなりました。

都会では味わえなかった「手をかける楽しさ」と「人との距離の近さ」。その両方が、古民家と田舎暮らしには詰まっています。


古民家リフォームに必要な視点

もちろん、いいところばかりではありません。古民家を住まいとして再生するには、きちんとした見極めと準備が必要です。

たとえば…

• 耐震補強(現行基準に合うよう構造材を補強)

• 断熱性の向上(土壁の風情を残しつつ、快適さをプラス)

• 水まわりの改修(キッチンや浴室、トイレは刷新が必要)

• 意匠のバランス(和の良さを活かしたモダンな空間づくり)

ポイントは、「残す」と「変える」の見極めです。時間が経っても飽きがこず、長く住み続けたくなる家を目指したいものです。


最後に──人生を耕す場所としての家づくり

都会の便利さを離れ、少し不便だけど豊かな暮らしを選ぶ。それは、何かを諦めることではなく、「本当に大切なもの」を取り戻すということなのかもしれません。

古民家リフォームは、住まいを整えるだけではなく、人生そのものを耕す作業。そして、丹波篠山市のようなまちには、その営みを支えてくれる人と環境が揃っています。

もしどこかで、「暮らしを見直したいな」と思ったときには、ぜひ一度このまちを訪れてみてください。

土の匂いと、風の音と、人の温かさが、きっと迎えてくれます。