低い天井、高いハードル
古民家のキッチン換気、どうする?
丹波篠山市の山間の村に建つ築古の古民家──。
大阪から子育て世代のご家族が、この場所での暮らしを求めて移住を決められました。
すでに前の持ち主さんの手で、玄関は木製から新調され、和室の続き間には無垢の桧フローリングが心地よく敷かれています。キッチンも、既存のものからシステムキッチンへと切り替える真っ最中。
外から見ると順調に思えるこのリフォームですが、実はこういった古民家再生には“思わぬハードル”がつきものです。
■ 古民家あるある。「換気」の位置がない!?
現代の住まいと比べ、古民家では天井や軒桁の高さが一段と低く、換気設備の設置に一工夫が必要なケースが多々あります。
一見すると「ちょっと天井が低いかな」程度に見えるのですが、室内の天井裏にはすぐに軒桁が走っていて、開口を設けようとすると――
なんと、床から2m未満になってしまうことも。
今回もご多分に漏れず、キッチンの換気設備でこの問題に直面しました。
現状の浴室には、すでに壁付けのプロペラファンがついていますが、キッチンに同じものを…となると、レンジフードの取り付け位置が低すぎて現実的ではありません。
■ そこで採用、「フラットレンジフード」
今回は、そういった“高さの制約”をクリアするために、「フラットレンジフード」という設備を選択しました。
これは、いわゆる「幕板型」や「薄型」とも呼ばれるもので、天井の低い古民家でもすっきりと収まる優れもの。
換気効率はしっかり確保しながらも、出っ張りが少なく、視界や空間に圧迫感を与えません。
もともとレンジフードといえば、プロペラファン+大型フードが一般的でしたが、
天井が低い古民家やリノベ空間には、この“目立たない選択”のほうがかえって相性が良いことも多いのです。
■ 実際の仕上がりは…?
施工後の写真がこちら。(※実際の画像がある場合はここに掲載)
外観・内観ともに、設備機器が空間に馴染んで、古民家の雰囲気を損なわず。
設備の“主張”が強すぎないことで、室内の自然素材や梁の質感がより引き立つ結果となりました。
ちなみに、プロペラファンと違って、フラットレンジフードは排気を屋外に逃がす“ダクト式”。
換気のルート確保こそ必要ですが、天井の低い古民家ではダクトを天井裏ではなく“壁面に這わせる”工夫もできます。
これも、現場ごとに判断が必要な部分ですね。
古民家の住まいづくりは「選択の重ね方」
今回のように、「天井が低いから無理かな」と思ってしまいそうな場面でも、
設備や設置方法の“選び方”次第で、快適さと見た目のバランスはちゃんと保てます。
古民家のリフォーム・再生は、完成形をひとつに決めすぎないことが大切。
ひとつひとつ、現場にあわせて「残す・変える・工夫する」を丁寧に選んでいく──
それが、クレアのリフォームの基本姿勢です。
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