「今夜は冷えるなあ」と感じる日の夜ほど、給湯器の調子って気になりませんか。
一日バタバタと働いて、ようやく家に戻ってきて、さあお風呂に入って寝よう。そんなタイミングで、お湯がぬるい、リモコンに見たことのないエラー番号が光っている、外はみぞれまじり……。まして丹波篠山の冬だと、ちょっと想像するだけで肩がすくみます。
というか、冬じゃなくても嫌ですね。
エコキュートは、ふだんはほとんど存在感を主張しません。
けれど、一度止まると、生活のど真ん中に登場してくる設備です。だから本当は、「壊れてから慌てて検索する」よりも、「この寒さの中で、あとどれくらい頑張ってくれるだろう」「そろそろ点検したほうがいいかな」と、少し早めに考えておくほうが暮らしはずっとラクになります。
今回は、丹波篠山の寒さという視点から、エコキュートの寿命とメンテナンス時期について、工務店の立場と一人の住まい手の感覚、その両方をまぜながらお話ししてみたいと思います。
「何年くらいもつんですか?」という、いちばんよくある質問
エコキュートの話になると、ほぼ必ず聞かれるのがこの質問です。
「何年くらいもつと思っておけばいいですか?」
もちろん、使い方や設置条件、機種によって違いはありますが、感覚的には十年から十五年くらいが一つの目安です。
外に置いてあるヒートポンプユニットと、お湯をためておく貯湯タンク。この二つの箱のなかに、基板やモーター、バルブ、配管など、たくさんの部品が組み合わさって動いています。
車と同じで、「絶対に十年で終わり」という線があるわけではありません。こまめに手をかけてあげると十五年近く頑張ってくれることもあれば、逆に十年を過ぎる前から、あちらこちらに不調が顔を出し始める場合もあります。
ここで大事なのは、「寿命=ある日突然ストンと止まる」というイメージではない、ということです。実際にはその手前に、いくつかのサインや前ぶれがあり、それをどう拾って、どう動くかで、丹波篠山の冬を安心して乗り切れるかどうかが変わってきます。
症状として急に止まったとしても、実は徐々に破損していた、ということが多いのです。
実は“法定点検”の対象ではないエコキュート
給湯器の世界には、「特定保守製品」といって、法律で点検が定められている機種もあります。石油給湯器などがその代表で、製造から9〜11年のあいだに、法定点検を受けてください、という仕組みになっています。
ところが、エコキュート(電気式のヒートポンプ給湯機)はこのグループには入っていません。つまり、必ず案内が届いて、決められた時期に点検を受けないといけない「お上からの宿題」のような存在ではなく、持ち主さん自身が様子を見ながら、お手入れと点検のタイミングを決めていく“自己管理型”の設備なんですね。
メーカーによっては、「10年目を目安にあんしん点検のご案内をします」といったサービスを用意しているところもあります。ただ、そこに至るまでの10年間をどう過ごすか、日常のメンテナンスをどこまでやるか、どのタイミングでプロに診てもらうかは、基本的に各ご家庭任せです。
丹波篠山のように冬の冷え込みが厳しい地域では、同じ十年でもエコキュートにかかる負担は少し大きめになります。「うちはこの寒さの中で、どんなリズムで付き合っていくか」を、早めに決めておく価値は高いと思っています。
日常のメンテナンスは「完璧を目指さず、続けられる範囲で」
メンテナンスというと、すぐに「業者さんを呼ぶ大掛かりな点検」を想像してしまうかもしれませんが、実はその前に、ご家族でできるお手入れがいくつかあります。
一つ目は、浴槽のフィルター掃除です。
お風呂の追いだき口のところに必ず丸いフィルターが付いていて、ここに髪の毛や細かなゴミが溜まると、追いだきがうまくいかなかったり、エラーの原因になったりします。
理想を言えば、週に一度くらい、入浴のついでにサッと外して、歯ブラシやスポンジで優しくこすり洗いしてあげるのがおすすめです。これだけでも、エコキュートの“ごきげん”はかなり変わります。
二つ目は、貯湯タンクの水を入れ替える「水抜き」です。
タンクの底には、どうしても少しずつ不純物が沈んでいきます。それ自体がすぐに故障の原因になるわけではありませんが、年に二〜三回ほど、水抜きして中の水を入れ替えてあげると、安心感が違います。やり方はメーカーや機種によって異なるので、取扱説明書を開きながら、日中の明るい時間帯に、落ち着いて試してみてください。一度やってみると、「あ、意外とできるな」と感覚がつかめると思います。
三つ目は、外まわりの“見回り”です。
タンクの脚元に水たまりができていないか。配管の保温材が破れて、中の配管がむき出しになっていないか。ヒートポンプユニットの前に物を置いて、風の通り道をふさいでしまっていないか。
丹波篠山の冬は、氷点下近くまで冷え込む日も珍しくありません。配管の保温が甘いと、凍結のリスクがぐっと上がります。スタッドレスタイヤへの履き替えと同じタイミングで、エコキュートまわりもぐるっと一周見ておく──そんな習慣をつくっておくと、冬の安心につながります。
完璧を目指すと続きません。できる範囲で、気づいたときに、ちょっと手をかける。その積み重ねが、結果的に寿命を延ばしてくれると考えてもらえれば十分です。
プロに点検を頼むなら、3年に一度をひとつの目安に
では、業者に点検を頼むのはいつ頃がよいのでしょうか。
これも「絶対にこのタイミングで」という正解はありませんが、私としては3年に一度くらいをひとつの目安としておすすめしています。車で言えば車検のような感覚です。
普段は特に不具合がないように見えても、中を開けてみると、ファン部分に汚れが溜まっていたり、配管の継ぎ目からごくわずかに水がにじんでいたり、部品がじわじわと疲れてきていることがあります。音や振動の“前ぶれ”のような状態も、プロが見るとわかることが多いです。
たとえば、新設から3年目くらいでいちど点検を入れ、その後、6年目で再度診てもらう。こうして10年の節目を迎えるまでに、内部の健康診断を2回ほど挟んでおくと、「真冬の夜に突然止まる」というリスクをかなり抑えることができます。
もちろん、設置からまだ2年しか経っていなくても、エラーが頻発したり、明らかに音がおかしかったりする場合は、年数に関係なく早めに相談していただいたほうがいいです。寒さの厳しい地域では、ちょっとした不具合が一気に表面化することもあるからです。
「これは様子見ではなく、相談を」のサイン
年数とは別に、エコキュート自身が出してくるサインもあります。
リモコンの画面に、見慣れない数字のエラーコードが何度も出るようになった。
お湯の温度が安定せず、ぬるくなったり、急に熱くなったりを繰り返す。
シャワーの勢いが、以前より明らかに弱くなってきた。
タンクやヒートポンプユニットの下に、いつも水たまりができている。
運転時の音が急に大きくなり、「キーン」「ゴーッ」といった異音が混ざるようになった。
こうした変化は、「そのうち直るかな」と様子を見たくなるところですが、実は「そろそろ中をのぞいてください」という立派なSOSです。
特に、設置から10年前後が経っている場合は、「一度きちんと診てもらう」こと自体が、寿命をどう考えるかのスタートラインになります。修理すれば十分延命できるのか、部品供給の状況から見て、そろそろ交換の方向で考えたほうがいいのか。そこはプロ側の情報も交えながら、一緒に判断していくことになります。
もし、故障してしまったときは
とはいえ、人間と同じで、どれだけ気をつけていても、ある日突然ダウンしてしまうことがあります。そんなときにいちばん大切なのは、「慌てて触りすぎない」ことです。
真冬の夜、お湯が出なくなった瞬間は、本当に焦ります。外は冷たい風、洗濯物もまだ残っている、お風呂に入りたい家族の視線も痛い……。つい懐中電灯を片手に外へ飛び出して、本体のあちこちを触りたくなるかもしれません。
でも、配管のバルブをむやみに開け閉めしたり、ブレーカーを何度も上げ下げしたりすると、かえって状況を悪化させることがあります。まずは落ち着いて状況を切り分けること。
お風呂だけお湯が出ないのか、台所や洗面所もダメなのか。
リモコンにエラーコードが出ているなら、その数字をスマホで撮っておく。
分電盤のブレーカーや、エコキュート専用の漏電遮断器が落ちていないか、静かに確認する。
本体から焦げたようなにおいがする、大きな異音がした、水が勢いよく噴き出している。こういった場合は、無理に自分でなんとかしようとせず、電源を切って、そのまま触らずに連絡を入れたほうが安全です。
夜間や休日にトラブルが起きた場合は、「今日はどう乗り切るか」を考えることも必要になります。浴槽に残っているお湯がまだ温かいなら、その日は追いだきはあきらめて、そのまま入ってしまう。どうにもならないときは、翌朝一番で工務店やメーカーに連絡を入れる。丹波篠山周辺なら、地域によっては最悪「今日は近くの温泉(銭湯)に避難しよう」という選択肢も現実的です。
連絡先としては、まず普段から付き合いのある工務店に相談していただくのがおすすめです。
そのお宅の建物全体の状況や、過去の工事の履歴を知っているぶん、「これは本体側の問題だな」「配管まわりが怪しいな」といった判断がしやすくなりますし、必要であれば電気工事業者やメーカーのサービスとも連携して動くことができます。窓口を一つにまとめておくと、結果的に早く話が進むことが多いです。
そして、故障したタイミングは、そのエコキュートの「これまでの働きぶり」を振り返る良い機会でもあります。設置から何年経っているのか。この数年で、ほかにも不具合がなかったか。家族が増えたり減ったりして、お湯の使い方が変わっていないか。
修理してもう少し頑張ってもらうのか、それともこれを機に交換まで考えるのか。慌ただしい最中に結論を出す必要はありませんが、「今回のトラブルをきっかけに、次の一手も考えてみようか」と一歩引いて眺めてみることで、その後の選択がしやすくなります。
10年を過ぎたら、「壊れる前に」交換計画も視野に
10年を超えても元気に動いてくれているエコキュートは、丹波篠山にもたくさんあります。きちんとメンテナンスをしていれば、15年近く頑張ってくれることも珍しくありません。
一方で、10年というのは、いろいろな意味で節目のタイミングでもあります。故障の頻度が増えてくる、部品交換のたびに修理費用がかさむ、メーカーの保守部品が少なくなり、そもそも修理対応が難しくなってくる──。そんな事情が重なってくるのが、このあたりの年数です。
さらに最近の新しい機種は、昔のものよりも効率が良く、省エネ性能も高くなっています。長い目で見れば、「古い機種を何度も修理しながら使い続けるより、あるタイミングで新しい機種に入れ替えたほうが、光熱費もストレスも抑えられる」ということも十分ありえます。
丹波篠山の冬を想像してみてください。雪がちらつく夜、外気温は氷点下近く、そんなときにエコキュートが止まってしまうと、家族全員の生活リズムが一気に崩れます。そこまで追い詰められてから「入れ替えなきゃ」と考えるより、10年を過ぎたころから、少しずつ交換計画も視野に入れておくほうが、心にも家計にも優しいと感じています。
最近の点検履歴、ここ数年の不具合の有無、家族構成の変化、お湯の使用量の変化。こうした情報を整理しながら、「次に大きな故障が来たら修理ではなく交換にする」「その前に一度、見積もりだけでも取っておく」といったラインを、ご家族で共有しておくと安心です。
丹波篠山の寒さだからこそ、「冬前メンテナンス」
クレアのある丹波篠山市は、朝晩の冷え込みと、日中との寒暖差がはっきりした地域です。黒豆や農作物にはありがたい気候ですが、エコキュートや配管にとってはなかなかハードな環境でもあります。
配管が凍結するリスク。
これが1番の原因です。少し実家に帰るから、旅行に行くからといって、ブレーカー(電源)を落とさないこと。ガス給湯器でもそうですが、通電しているだけで【凍結防止】となります。それが、省エネ省エネ♪と電源を切ると、凍結による配管破裂で修理できない故障が生じる場合もあります。
ヒートポンプユニットの周りに積もった雪や、屋根からの落雪。
強い冷え込みで、タンクまわりにいつも以上の負担がかかること。
こうした条件を考えると、「冬が来てから慌てて対処する」のではなく、「冬が来る前に一度いたわっておく」という発想が大事になってきます。タイヤをスタッドレスに履き替えるころに、エコキュートにも少し手をかけておく──そんな“冬前メンテナンス”です。
浴槽フィルターの掃除、タンクの水抜き、配管と保温材の目視確認、逃し弁が固着していないか軽く動かしてみること。全部を完璧にやる必要はありません。できるところから、できる範囲で。それでも、何もしないまま冬に突入するのとは、安心感がまったく違います。
「カレンダー」と「体調の変化」で寿命を見守る
エコキュートの寿命を考えるとき、私はいつも「カレンダー」と「体調の変化」という二つのものさしを意識しています。
カレンダーのほうは、年数や季節の区切りです。
日々のフィルター掃除、季節ごとの水抜き、3.4年ごとの点検、十年前後での交換検討。
体調のほうは、エコキュート自身が出してくるサインです。
エラーコード、温度の不安定さ、水漏れ、異音、そして真冬の寒さの中でのちょっとした違和感。
どちらか片方だけではなく、この二つを組み合わせて見守っていくことで、「気づいたら真冬に壊れていた」という事態をかなりの確率で減らすことができます。
エコキュートは、家の構造そのものほど目立つ存在ではありませんが、丹波篠山の寒さのなかで、お風呂時間と暮らしの機嫌を静かに支えてくれている、大事な裏方です。
「そういえば、うちのエコキュート、何年目だったかな?」
もし、ふとそう感じた方がいらっしゃれば、一度リモコンや本体の銘板で製造年を確認してみてください。十年に手が届きそうなら、次の冬に向けて、メンテナンスと点検、そしていざというときの交換計画も、少しずつ考え始めてみるタイミングかもしれません。
そのときは、エコキュート単体の話だけでなく、家全体の断熱や給湯の使い方も含めて相談していただけると、工務店としてはとてもうれしいです。「うちはこのまま修理しながら乗り切れるのか」「交換するなら、どんな機種が合っているのか」。そんなところから、ゆっくりお話ししていきましょう。
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