丹波篠山市で見つける「これからの暮らし」

移住先の物件探し、現地工務店の視点から

「丹波篠山市に移住したいんですけど、どんな空き家がありますか?」

そんなご相談をいただく機会が、ここ数年でぐっと増えました。 コロナ禍を経て、暮らしの価値観が大きく変わったこと。自然豊かな環境で子育てしたい、リモートワークで地方でも暮らせる、そして何より、都会の慌ただしさからちょっと離れて、自分たちらしい暮らしを見つめ直したい——そんな思いが、移住という形で具体化されているのを実感します。


私たちクレアは、丹波篠山市の空き家や古民家のリノベーション・移住支援にも携わる地元工務店として、地域に根差した家づくりを行っています。だからこそ、物件探しの段階から、現地の「リアル」をお伝えできる立場にもあります。


この記事では、丹波篠山への移住を考える方に向けて、物件探しのポイントや注意点、そして“この地域ならでは”の魅力的な選択肢について、現場の目線でご紹介していきます。


1. 「家を探す」とは、「暮らしをつくる」こと

物件を探すとなると、まずは不動産ポータルサイトで条件検索。これは誰もが通る道ですが、丹波篠山ではちょっと違ったアプローチが必要かもしれません。

というのも、丹波篠山市ではいわゆる「未公開物件」や、空き家バンクを通じた独自の物件流通が多く、ネットには出てこない“お宝物件”が点在しているのです。築100年を超える古民家、かつての農家住宅、元商家、あるいは「昭和レトロ」が残る空き家。どれも、見方を変えれば唯一無二の資産です。


ただし、それらは現状のまま住めるわけではありません。補修やリフォームが必要なケースがほとんど。でもだからこそ、自分たちの理想に合わせて“再生”できる可能性がある。言い換えれば、「家を探す」ことは「自分たちの暮らしをデザインする」ということなのです。


2. 移住者に人気のエリアとは?

丹波篠山市内でも、エリアによって雰囲気はかなり違います。たとえば。。


• 中心部(篠山口駅~市街地周辺)  交通の便がよく、子育て世代や通勤もあるご家庭に人気。商業施設や学校も多く、都市機能と田舎のバランスが良いエリアです。

• 今田町・西紀・多紀エリア  のどかな田園風景と、里山暮らしが色濃く残る地域。自給自足や自然との共生を楽しみたい方にはぴったり。移住支援住宅もちらほら。

• 古民家再生が進む城下町エリア(伝統的建築物群保存エリア)  味わいある町並みと、空き家の再利用が進む地域。古民家好きの方や、地域活動に関心がある方には最適です。


ちなみに、弊社で施工させていただいた「丹波篠山の家」モデルハウスも、そうした街並みつくりの一環です。古き良き家の良さを活かしつつ、現代的な快適さを加えたデザインに、多くの方が共感してくださいました。


3. 空き家バンクの上手な活用法

丹波篠山市には、移住希望者向けの「空き家バンク」が整備されています。 登録数も多く、担当者の方がとても親身。気になる物件があれば、まずは一度内見してみるのがおすすめです。


ただし、ここでひとつ注意したいのが、「写真と実物のギャップ」。

ネット上の画像ではなかなか伝わらない「匂い」「湿気」「質感」など、現地で初めてわかる要素がたくさんあります。まさに百聞は一見に如かず。


そしてもうひとつオススメするのは、「地元の工務店に早めに相談する」こと。物件の状態から、補修の可否、予算感まで、その場でリアルにお話できますし、購入前の「これは大丈夫?」という見極めにも役立ちます。私たちも、実際に購入前から相談を受けて同行することがよくあります。


4. 購入だけじゃない「お試し移住」という選択

いきなり家を買うのが不安……という方には、「お試し住宅」や「短期賃貸」も用意されています。実際に丹波篠山で数ヶ月暮らしてみることで、「自分たちに合うかどうか」をじっくり見極められます。

買い物や通院、子どもの学校、近所付き合い……暮らしは住宅だけでは語れません。暮らし心地を体感できる期間を設けることは、長い目で見て非常に大切なステップです。


5. よくある失敗・落とし穴にご注意を

夢いっぱいの田舎暮らし。ですが、「こんなはずじゃなかった…」という声をゼロにするためにも、いくつか知っておいてほしい“落とし穴”があります。


【落とし穴①】写真だけで判断してしまう

空き家バンクやポータルサイトに載っている写真は、どうしても、ごく一部の“いい角度”を切り取ったもの。 実際に内見に行ってみると「想像よりも湿気が多い」「床が思ったより沈む」「においが気になる」といったケースは少なくありません。

★ポイント:内見は必須。可能なら建築業者(できれば地元の)にも同行を依頼して、状態チェックを。


【落とし穴②】リフォーム費用を甘く見積ってしまう

物件価格が安いと、「掘り出し物を見つけた!」と嬉しくなりますが、見逃せないのがその後の費用。 特に水回りや屋根・基礎などの構造部分に傷みがあると、リフォーム費用が100万円単位で変わってきます。

★ポイント:購入前に必ずリフォームの概算見積もりを。全体予算で考えるクセを。


【落とし穴③】周辺環境を調べていなかった

家そのものは素敵でも、いざ暮らしてみると「スーパーまで車で30分」「子どもの通学手段がない」など、都会との生活環境にギャップを感じることも。

★ ポイント:地元の暮らしを知るために“お試し移住”や周辺の散策も。


【落とし穴④】地域のしきたりや人間関係を知らなかった

田舎暮らしの醍醐味は、地域とのつながり。でもそれが「想像以上に濃かった」という驚きになることも……。実はいろいろありますし、同じ丹波篠山市内でも地域差は大きいです。

★ ポイント:購入前に「この地域はどんな雰囲気ですか?」と、ぜひ尋ねてみてください。


6. 「丹波篠山市で理想の住まいに出会うまで」——物件探しにかかる時間は人それぞれ

「この家に出会うまで、1年かかりました。でも、待ってよかったと心から思います。」

そんな言葉を移住者の方から聞くたび、私たちも嬉しくなります。

実際に丹波篠山市で空き家を購入し、移住された方々を見てみると、こんな傾向があります:

• 即決(1ヶ月以内)…約20%

• じっくり(3〜6ヶ月)…約40%

• 長期戦(1年以上)…約30%


平均的には、6ヶ月〜1年を目安にするのがおすすめです。

焦らず、でもあきらめず。 一歩一歩、納得のいくペースで進めていけば、「出会いの瞬間」は必ずやってきます。


7. 「家」から始まる、新しい日々へ

丹波篠山での暮らしには、都会にはない豊かさがあります。 鳥の声で目覚め、畑を耕し、ご近所さんと季節の恵みを分け合う日々。 決して華やかではないけれど、心がほっとする暮らし。

その始まりが「物件探し」であるなら、私たちはその一歩を、誠実に、そして丁寧にお手伝いしたいと思っています。


【移住】という大きな選択の先に、「ここで暮らしてよかった」と思える日々がありますように。


そして、もしよろしければ、私たちクレアもその旅の一歩をご一緒させてください。