小さな庭でもできる簡単スタートガイド
家の窓から見える小さな庭。
久しぶりに触れた土の匂いに、懐かしさがこみあげてくる。
田舎で育った私たち夫婦にとって、庭や畑のある暮らしは「特別」ではなかったはずなのに。
いつのまにか忙しさのなかで、遠ざかっていたのかもしれません。
マイホームを建てたとき、小さな庭で、家庭菜園を始めてみることにしました。
子どもと一緒に、昔祖母に教わったように、種をまいてみる。
今日はそんな“もう一度の土いじり”を始めたい方へ、田舎育ちの目線でお届けする、ゆるやかなガイドです。
1. はじめの一歩は「思い出す」ことから
家庭菜園の本を開けば、たくさんのノウハウが載っています。
でも、まずは「思い出す」ことも大切。
子どものころ、おばあちゃんの横で草をむしったこと。
夏の夕方に、じょうろを手にしたこと。
そういう記憶って、案外、体のどこかに残っているものです。
家庭菜園は、何かを“学ぶ”だけじゃなくて、“思い出す”行為でもある。
そんな気持ちで、のんびり始めていきませんか?
2. 育てやすくて、暮らしに役立つ野菜5選
「小さな庭でも」「初めてでも」「子どもと一緒にでも」
そんな条件で選ぶなら、まずこの5種。
どれも、うちのばあちゃんや近所のおっちゃんが「まずはこれ」と勧めてくれた定番です。
【1】ミニトマト
夏になると、あちこちの畑で鈴なりに赤くなる姿が当たり前だったミニトマト。
放っておいても元気に育ち、収穫も楽しい。
そこそこほったらかしでも大丈夫。きっと鈴なりがみれる野菜です。
【2】ラディッシュ(はつか大根)
うちの祖母は「育てるなら、はつか大根がええよ」とよく言っていました。
短期間で収穫できるから達成感も早く、何より場所を取りません。
「畝(うね)」もいらないので、花壇のすみにも植えられます。
【3】きゅうり
ツルが伸びていく勢いに、子どもたちが毎朝観察をはじめたきゅうり。
あっという間に大きくなるから、「いつ採る?」のタイミングを見計らうのも楽しい時間。
塩でそのまま…夏の味です。
あっという間に巨大化します。あまり大きくなりすぎると、味もみずみずしさも大雑把になるので、収穫時期は「もう少し大きくなあれ」の欲張りは要注意!
【4】しそ(青じそ)
田舎の庭のどこかに、いつも生えていたしそ。
本当に手がかからず、でも香りは抜群。
「そうめんの薬味にいいで」と母がよく摘んでいたのを思い出します。
特に夏はなにかと、ワンポイントに役立ちます。爽やかさもアップする一品!
【5】ピーマン
ピーマンって、案外すごい数がなるんですよね。
実家の畑でも、「あれ?また採れとる!」と驚いたものです。
自分で育てたら、苦手な野菜もちょっと好きになれるかもしれません。
虫も寄ってきにくい野菜。
3. 道具も「あるもので」
おじいちゃんは、剪定も草取りも、ぜんぶ素手でした。
「手で触るほうがようわかる」って言って。
でも、最初のうちは手を守るためにも、軍手くらいはあってもいいかなと思います。
最低限、あれば便利なのはこの3つ:
小さめのスコップ
軍手
じょうろ
あとは麦わら帽子。笑
そして余裕があれば、支柱と市販の野菜用培養土。
土づくりに自信がないなら、初回は土も買ってしまってOK。
いずれ“自家製コンポスト”に目覚める日が来るかも、ですが、まずは気楽に。
4. 忙しい暮らしに、庭時間を少しだけ
家庭菜園を始めると、「毎日見に行きたくなる」ようになります。
でも、「ちゃんとやらなきゃ」と思う必要はありません。
うちでは、
「朝の弁当づくりのあと、庭に出る5分」
「子どもと風呂前にひとまわり」
そんな時間が、毎日の中で自然に生まれてきました。
気づけば、子どもが先に外に出て水やりしてる日も。
それが嬉しかったりします。
お昼は働いている方が多いと思いますが、水やりもあっつい日中ではなく、
朝や夕方以降にしてあげてください。
5. 子どもと育てる楽しみ
田舎で育った私たちでも、正直、昔は「畑仕事=手伝い」でした。
でも今、自分の子どもたちと一緒にやる家庭菜園は、ぜんぜん感覚が違います。
「これ、〇〇が植えたトマトやで!」
「今日、葉っぱが3枚に増えとった!」
そんなふうに、自分の“しごと”として誇らしげに話す姿に、ハッとさせられることも。
家庭菜園は、“やらされるもの”じゃなく、“誰かと一緒に楽しむもの”。
それを、今の暮らしの中で改めて感じています。
庭って、やっぱりいいなあ
引っ越しのときは、「草の管理が大変そうやな」と思っていた庭。
でも、今では「庭に出ない日はちょっと物足りない」くらいになってきました。
いや、草に関してはしっかりお手上げになりつつあります。
土の匂い、雨上がりの葉っぱの艶、夕方の影の落ち方。
子どもと一緒にそれを感じられる暮らしは、やっぱり贅沢です。
次の夏、あなたの庭にも、色とりどりの夏野菜が実るかもしれません。
気張らず、でも楽しみながら。
一緒に“庭しごと”を始めてみませんか?