「そのとき」はいつ？
「今がそのときかもしれない」
そんな直感で動ける方は、実は案外少数派かもしれません。
移住には「想い」も「準備」も必要で、人生の大きな分岐点です。
私は丹波篠山市で工務店を営んでいますが、地域の住まい手と向き合うなかで、「移住を決断したタイミング」には共通するいくつかの“節目”があると感じています。
今回は、「いつ移住するのがいいのか？」という問いについて、季節や暦のタイミング、そして人生のライフステージの節目──ふたつの角度から、じっくり考えてみたいと思います。
【暦のうえの“いい時期”とは？】
まずは、実際に引越しや新生活の準備をするうえで、よく選ばれる「季節のタイミング」について。
■ 春：卒業と入学、そして新年度の始まり
春は、進学や就職、転勤といった人生の切り替わりと重なりやすい季節です。小さなお子さんがいる家庭では、「小学校に上がる前の春」に移住を決断されるケースがとても多い。
新しい学校、新しい友達、そして新しい家。
すべてがいちどにリスタートできる点で、「春の移住」は心理的にもスムーズです。
■ 夏：梅雨が明け、動きやすいが「お盆」がひとつの山
夏は引越し件数そのものが増えるシーズン。天候も安定しており、屋外作業も進めやすいのですが、建築やリフォームの現場は「お盆休み」が挟まるため、工程の計画はやや複雑に。
とはいえ、夏休みを利用して「子どもと一緒に移住先を見て回る」ご家族はとても多いですね。
体験宿泊や、地域の夏祭りへの参加は、“その土地の空気”を知る絶好の機会にもなります。
■ 秋：実は“じっくり型”におすすめの季節
移住準備がゆっくり進められるのが秋。日中は作業しやすく、年末に向けて整えていくことができます。建築・リフォームの現場も比較的空きがあり、丁寧に相談できる季節です。
また、収穫や紅葉といった土地の風物詩に触れることで、「暮らしの実感」が湧いてくる方も。
■ 冬：年末年始は“思いの再確認”に向く
年末年始の帰省や休暇で「これからの暮らし」を家族でじっくり話す方が多いのも冬。
特にUターン移住を考えている方には、この時期に“ふるさと”の姿を見直す機会となりやすいですね。
雪が降るこの地域では、冬の暮らしを実際に体験してみるのも大切です。
【ライフイベントから見る「移住のベストタイミング」】
続いて、人生のステージに応じた「移住の決断時」について考えてみます。
■ 子どもが生まれた・保育園や小学校に上がるタイミング
「自然豊かな場所で子育てしたい」という声は、今も昔も変わりません。特に保育園・小学校入学前後のタイミングで移住を考えるご家族が多いです。
学校区の切り替えもあり、移動のハードルが下がるこの時期は、子どもの将来も含めて考える絶好のチャンスです。
丹波篠山市のような地域では、「小規模校だからこその目の届く教育」「自然体験の多さ」を魅力に感じて移住される方が目立ちます。
■ 定年退職や早期リタイア
仕事を終えたあと、「自分の時間を、自分の暮らしにあてたい」と願う方にとって、定年後の移住は人生の第二幕です。
ただし、地域との関わりや医療環境などを慎重に検討する必要があり、「今のうちに拠点だけ確保しておく」という“段階的移住”を選ばれる方も多くいらっしゃいます。
この年代の方々は、資金計画や税制優遇、補助金の制度などを丁寧に調べて行動されている印象です。
■ 働き方が変わったとき（転職・フリーランス・在宅勤務化）
コロナ禍をきっかけに「場所に縛られない働き方」を選ぶ方が増えました。
オフィスに通わなくてよいなら、「住む場所も自由に選んでいい」というのは大きな発見ですよね。
Wi-Fi環境と交通アクセスさえ整っていれば、丹波篠山市のような場所でも都市と変わらぬ暮らしが可能です。
このような“新しい働き方”をきっかけに、30～40代で移住されるご家族が近年特に増えています。
プランニングの視点から：焦らず、でも逃さず
工務店として家づくりをお手伝いするなかで感じるのは、「いい移住」には準備期間が必要だということです。
「子どもが小学校に上がるまでに引っ越したい」なら、最低でも1年前から土地や住宅の選定、生活インフラの確認を始めておくのが理想的です。
定年後の移住でも、年金や相続、固定資産税、リフォーム費用の捻出など、複合的な視点が必要になります。
こうした面では、長期的な視点──「5年後、10年後の自分の暮らしをイメージして、逆算すること」が非常に大切になります。
また、「すぐには引っ越さないけど、気になっている土地がある」という方に向けて、空き家バンクや地域主導の体験プログラムを活用するのもおすすめです。
移住先の地域と、じっくり関係を育んでいくのも、一つの移住のかたちです。
“動けるとき”を見逃さないで
「タイミング」というのは、外から与えられるものではなく、「自分の中に芽生えるもの」だと私は思います。
たとえば、ふとした休日に「このままの暮らしでいいのか？」と感じたとき。
子どもの笑顔を見て、「もっと自然とふれあわせたいな」と思ったとき。
親の老いを目の当たりにして、「そばにいてあげたい」と感じたとき。
その感情こそが、「動くとき」のサインなのかもしれません。
私たち地元の工務店は、そんな“人生の節目”をそっと後押しできる存在でありたいと思っています。
気候も、ライフステージも、それぞれのご家庭にとっての“ちょうどいい”は違います。
でも、どんな方にも共通して言えるのは、「動けるとき」は限られている、ということ。
その瞬間を、どうか大切にしてください。
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「いつ移住する？」の答えを探して
──タイミングときっかけの話。
「いずれは田舎で暮らしたい」
「子どもが育つ環境を見直したい」
「そろそろ第二の人生を考えようか」
そんな思いが心に芽生えたとき、次に迷うのが「いつ動くか？」という“タイミング”の問題です。
私は丹波篠山市で小さな工務店を営んでいます。これまで多くのご家族が、この地で暮らしを始めるお手伝いをしてきましたが、移住の決断にはそれぞれの“時”があると、日々実感しています。
このコラムでは、移住のタイミングを見極めるためのヒントを「季節・時期」と「ライフイベント」の2つの視点からお伝えします。
■ 暦の中にある“ちょうどいい時期”
まずは、春夏秋冬といった季節の移ろいと、年度・年末年始といった節目について見てみましょう。
春：新生活と一緒にリスタート
春は、卒業・入学・転職といった人生の切り替わりが重なる季節。
子どもが小学校に上がるタイミングで移住するご家庭が多く、新しい学校、新しい家、新しい土地という「まるごとリセット」が可能です。
引越しの段取りや地域の手続きも、新年度に合わせて動きやすい時期です。
夏：動きやすさは◎。でもお盆の工程には注意
夏は天候も安定しており、物件の内覧や引越しがしやすいシーズン。
ただし建築やリフォーム現場は、お盆の長期休暇を挟むと工程がずれ込みやすくなります。
その一方で、夏休みを利用して「地域を家族で体験する」には絶好のチャンス。田舎ならではの夏祭りや自然体験に触れることで、土地との距離がぐっと近づきます。
秋：ゆっくり整えたい人にぴったり
秋は、焦らず計画を立てたい方におすすめの季節。気候も穏やかで、建築の進行もスムーズ。
土地探しや空き家見学をじっくり行える時期です。
また収穫祭や地域イベントに参加することで、「この土地で暮らす実感」が自然と湧いてきます。
冬：思いを確認し、準備に入る時期
年末年始は、家族で将来を話し合う時間がとれる貴重な時期です。
UターンやIターンを考えている人が「やっぱり帰ろうかな」と再確認するのもこの時期。
積雪のある地域では「冬の暮らし」を体験できることも重要なポイントになります。
■ ライフイベントと“暮らしの区切り”
次は、人生の節目に訪れる「移住のきっかけ」についてご紹介します。
子どもの成長タイミング（保育園・小学校入学）
「自然の中で子どもを育てたい」という願いは、今も昔も根強いものです。
特に、小学校への入学は環境を大きく変えるチャンス。学区が変わっても不自然ではなく、タイミングとして非常に理にかなっています。
丹波篠山市のような地域では、小規模校でのきめ細かな教育や、日常の中にある自然体験が魅力とされています。
定年退職・早期リタイア後
定年を迎えると、これからの時間をどう使うか、という課題が浮かびます。
家庭菜園や趣味、地域との関わりを重視する方にとっては、「定年後の移住」はまさに第二の人生のスタート。
とはいえ、年齢とともに医療環境や日常のアクセスも重要になりますので、すぐにフル移住せず、「週末移住」「お試し滞在」から始める方も増えています。
働き方の変化（テレワーク・転職など）
リモートワークが定着したことで、「職場に通わなくてもよい」働き方が浸透しました。
すると当然、「住む場所を自由に選べる」という選択肢が生まれます。
都市近郊でありながら自然にも恵まれ、交通アクセスも悪くない丹波篠山市のようなエリアは、30代・40代の移住先としても注目されています。
■ 「人生設計」の視点から考えると…
ここまで見てきたように、移住には「時期」と「ライフイベント」の2つの節目が大きく関わってきます。
さらにもう一歩踏み込むなら、「5年後・10年後の暮らし」を想像し、そのために“今”をどう動くか、というファイナンシャルプラン的な視点も大切です。
たとえば…
教育費のピークと住宅ローンのバランス
親の介護との距離感
年金生活と固定資産税・生活コストの調整
など、住まいの選択は「暮らしの選択」そのもの。
だからこそ、焦らず、でも先延ばしにしすぎない──そのバランスが重要なのです。
また、すぐに本格移住を決めずとも「空き家バンクを見てみる」「体験滞在してみる」といった“準備の一歩”を踏み出すことで、ぐっと現実味が増してきます。
■ 最後に──あなたの“その時”を見逃さないために
「いつ移住するべきか？」という問いに、正解はありません。
けれど、こんな瞬間があったら──少し立ち止まって考えてみてください。
通勤や都会の喧騒に、ふと疲れを感じたとき
子どもの笑顔を見て、「もっとのびのび育てたい」と思ったとき
人生の“次のフェーズ”を考え始めたとき
その感覚こそが、「あなたの移住タイミング」かもしれません。
私たち地域の工務店は、そんな“動き出したい思い”を、かたちにするお手伝いをしています。
無理に背中を押すことはしません。でも、いざというときに頼れる存在でありたい。
あなたの「その時」を、いつでもお待ちしています。
