負担の少ない間取りと素材を考える

ペットと暮らすリフォーム


今回は「犬と暮らす住まい」について、リフォーム目線でお話ししてみようと思います。


うちにも4歳になるシェルティ(シェットランド・シープドッグ)がいます。性格はとても穏やかですが、ちょっとおてんば娘でもあり、インターホンが鳴るたびにワンワンと吠えまくり。

それも我が家の“暮らしの音”として、愛おしく思っています。


さて、そんな犬との暮らし。

家の中でどう快適に過ごすか──これは、意外と「人」よりも「犬」に合わせることが大切です。今回は、ペットリフォームを考えるときに知っておきたい「間取りの工夫」と「素材選び」について、私なりの視点でまとめてみます。


1. 犬の“動線”を考えると、家が変わる


まずは、家の中で犬がどこを通るのか。

日々の散歩、食事、昼寝、来客対応(吠える!)、それから家族について歩く…これらの“動き”を、よく観察してみると、犬なりの「生活動線」があることに気づきます。


例えば、玄関〜廊下〜リビングを行き来する子なら、そのエリアを「滑らない床材」にしてあげるだけで足腰への負担が激減します。

特に中型犬〜大型犬になると、ツルツルのフローリングは本当に危険。

フローリングの上にラグやマットを敷いて対応しているご家庭も多いですが、リフォームの機会があれば「全体をノンスリップ仕様の床材に張り替える」という選択もおすすめです。


また、我が家のシェルティのように「人のそばでうろうろ」する子は、キッチン〜ダイニング〜リビングの導線が開けているほうが安心感を持って暮らせます。

ペットにとっての「安心できる回遊性」、これは意外に大切な要素です。


2. 吠える子 vs 静かな子 間取りで変わる“音”の配慮


犬の鳴き声って、個性がありますよね。

子犬の頃から静かな子もいれば、ピンポンに敏感に反応する子、家族の帰宅時に大喜びで吠える子…。どれも愛嬌のある“声”ですが、ご近所付き合いのことを思うと、気になるのも事実。


ここで一つ、リフォームでできる工夫があります。

それは「玄関とリビングを直接つなげない」こと。

たとえば、玄関から廊下を1枚挟むことで、外からの刺激(音・光・気配)を和らげることができます。


さらに、玄関付近に「犬専用の居場所」を設けると、来客時も落ち着きやすくなります。

サークルを置くスペースをあらかじめ想定しておくと、室内の動線もスッキリしますよ。


防音性能を求める方には、内窓の設置や吸音クロスの活用も検討の余地ありです。

ただし、「犬の鳴き声を完全に防ぐ」ことは難しいので、音の“抜け”を少しでも和らげるという気持ちでプランすると良いでしょう。


3. 床材・壁材は「すべりにくく・傷つきにくく・においが残りにくい」ものを


住まいの素材を見直すと、ペットも人も快適になります。

特に見直してほしいのは「床」と「壁」。以下のような観点がポイントになります:


【床材】

  • クッションフロア(CFシート):滑りにくく、掃除がしやすい。最近は木目調のおしゃれな柄も多数あり。
  • コルクタイル:足腰に優しく、自然素材の質感が気持ちいい。
  • ペット用フローリング:傷がつきにくく、防臭・防水加工済みのものも。


※滑り止め加工のラグやマットを部分的に活用するのも◎ですが、リフォームの際には「部屋全体の一体感」を重視して仕上げると美観的にもスッキリします。


【壁材】

  • 汚れや引っかき傷に強い「腰壁パネル」
  • 消臭効果のある「エコカラット」や「珪藻土塗り壁」
  • 汚れがついても拭き取れる「耐水クロス」


壁は意外と見落としがちですが、「犬の体がよく触れる位置」=鼻の高さ〜背中の高さあたりは、思った以上に汚れやすいです。お手入れのしやすさと耐久性を意識しておくと、長く快適に使えます。


4. リフォームするなら「犬の休憩スペース」を先に考える

人の目線で間取りを考えると、どうしても「寝室・リビング・水まわり」などが中心になります。でも、犬との暮らしにおいては「この子が落ち着けるスペース」がなにより大事。


ポイントは、「人の動線とは少しズレた場所に設ける」こと。たとえば階段下のデッドスペース、窓辺の明るいコーナー、あるいはリビングの隅っこなど…。大切なのは、“見えるところにいるけど、邪魔にならない場所”です。


我が家のシェルティも、お気に入りの場所は季節によって変わります。

ダイニングテーブルの1番手の届かないところ、ピアノの足元、カーテンの向こう側。。

季節なのか気分なのか、あちこち『自分の場所』をお持ちです。


正直、「せまくない?」と思う場所もありますが(笑)、おてんば娘は納得していて、それだけ環境に適応している証拠なのかと。犬ってほんと、繊細です。


だからこそ、リフォームを考える際には「犬の基地づくり」からスタートするのもアリです。


5. 暮らしの“ちょっとした工夫”が、犬にも人にも心地よさをくれる


最後に。これは、特別な工事ではないけれど、日々の生活において感じている小さな工夫をいくつかご紹介します。


  • 食器まわりは洗いやすい素材(タイル張りやCF)に
  • お風呂上がりに犬を拭く場所として、玄関にタオル棚を設置
  • 抜け毛対策に、掃除道具を1か所にまとめた“犬グッズ棚”をつくる
  • 「ペットカメラ」を置けるコンセント位置を設ける(意外と盲点!)


こういった“小さな工夫”が積み重なることで、「犬との暮らし」がグンとラクになります。


犬との暮らしは、「思いやり」と「観察」から生まれる家づくり


リフォームというと、つい人の生活目線だけで考えてしまいます。

でも、犬と暮らす毎日は、彼らの視点に寄り添うことで、驚くほど豊かなものになります。


犬にとって暮らしやすい家は、人にとってもやさしい家。

滑らず、音に配慮され、掃除がしやすく、どこかに“基地”がある──。

そんな住まいを一緒に考えていけたら嬉しいです。


もし、ペットとの暮らしに関するご相談があれば、どうぞお気軽にご連絡ください。犬好きの工務店として、全力で寄り添います。