洗濯物、どこに干してますか?【丹波篠山市|有限会社クレア】

家づくりで意外と迷う“洗濯動線”の話


家づくりのご相談を受ける中で、意外と多いのが「洗濯物をどこに干すか問題」です。


  • 「ベランダで干したいけど、動線が遠い…」
  • 「室内干しの場所がなくて、廊下に干してる」
  • 「乾燥機があるけど、全部は乾かせない」


そんな声を聞くたび、住まいというのは“暮らし方そのもの”だなあと感じます。


洗濯という家事は、キッチンのように「華やか」ではありませんが、毎日の積み重ね。だからこそ、洗濯動線の設計がしっかりしている家は、日々の暮らしが断然ラクになります。


今回は、「洗濯物をどこに干すか」にまつわる選択肢を、それぞれのメリット・注意点・失敗例とともにご紹介します。


【1】2階ベランダ──“外干し派”の定番だが要注意

まずは、現代日本の住宅で定番の「2階ベランダで外干しする」スタイル。


■メリット


  • 日当たり・風通しが良く、しっかり乾く
  • 通行人の目線からも遠く、プライバシーが守られやすい
  • 屋根付きにすれば、多少の雨にも対応可能


■注意点・失敗例


  • 洗濯機が1階だと、洗濯物を持って階段を上り下りする負担が大きい
  • 花粉・黄砂・PM2.5が飛ぶ季節には干せない
  • ベランダまでの動線に室内ドアが多いと、かえって面倒


プロの視点:

「2階に洗濯物を干したい」というご要望の際は、“洗って→干す”までがスムーズにいく動線かを必ず確認します。

階段の位置や上下階のつながりが悪いと、結局「面倒で部屋干しばかり」ということになりがちです。


【2】ランドリールーム──洗濯のための“ワークスペース”


最近、ぐんと人気が高まっているのが「ランドリールーム」を設けるプラン。


これは、脱衣所とは別に、洗濯に関する作業(洗う・干す・畳む・しまう)を一か所にまとめた“洗濯専用空間”です。


■メリット


  • 天候に左右されず、1年中安定して洗濯できる
  • 家事動線が短く、作業効率が格段に上がる
  • 室内干し専用の換気・除湿計画がしやすい
  • アイロンがけや畳み作業もその場で完結できる


■注意点・失敗例


  • 3帖以上の広さがあると快適だが、スペースが必要
  • 換気設備や除湿の工夫がないと、カビや臭いの原因に
  • 家族動線と交差すると、使い勝手が悪化することも


プロの視点:

ランドリールームは「あると確かに便利」ですが、ポイントは“洗濯機と物干しスペースの距離”“換気性能”。

設置位置と窓・換気扇・除湿器などの組み合わせで快適度が大きく変わります。


【3】サンルーム・インナーバルコニー──全天候型の“外干しエリア”


次にご紹介するのは、外のようで室内のような「サンルーム」や「インナーバルコニー」。


半屋外のような空間に洗濯物を干すことで、天候・花粉・プライバシーの全方位に対応できるのが強みです。


■メリット


  • 雨の日でも干せる安心感
  • 紫外線や花粉の影響を和らげられる
  • 屋外感がありながら、防犯面でも安全


■注意点・失敗例


  • 夏場は温室のように高温になることも
  • 設置コストが高め(屋根・ガラス・床の施工が必要)
  • 通気・日射コントロールの計画が甘いと失敗する


プロの視点:

サンルームは「建てて終わり」ではなく、“どう使うか”を具体的にイメージして設計することが大切です。干す動線・風の流れ・遮熱の工夫がないと、快適に使えない空間になってしまいます。


【4】階段ホール・廊下──意外な“干しスペース”の活用術

「ランドリールームをつくる余裕はない」「サンルームまで必要ない」というご家庭でも、“洗濯物をちょっと干したい”という場面はありますよね。


そんなときに活躍するのが、階段ホールや廊下の一角です。


■メリット


  • 昇降式物干しを使えば、使わないときはスッキリ
  • 夜間の室内干しや、雨の日の臨時スペースとして活躍
  • 最小限のスペースで導入できる


■注意点・失敗例


  • 湿気対策が不十分だと、クロスや梁が結露しやすい
  • 吊るした状態が常態化すると、生活感が出すぎる
  • 吹き抜けに設置した結果、1階の冷暖房効率が悪化


プロの視点:

「ちょっと干せる場所」は、**“用途を限定せずに設計する”**のがコツです。物干しバーやワイヤーを引っ掛けるだけの簡易設備でも、動線さえ確保しておけば、実際には重宝される場所になります。


【5】乾燥機があっても“干し場”はやっぱり必要?

共働き世帯を中心に、ガス乾燥機「乾太くん」やドラム式乾燥機を導入するご家庭も増えてきました。


実際、梅雨時や冬場には非常に便利ですし、時短効果も抜群です。


■でも…乾燥機があっても、干し場ゼロはキケン。


理由は以下のとおり。


  • 熱に弱い衣類(セーター、下着など)は乾燥機NG
  • アイロンがけが必要な服は、干す方がしわになりにくい
  • 子ども服やスポーツウェアなど、乾燥より自然乾燥が適する場合も


プロの視点:

「乾燥機があるから物干しスペースは不要」と思いきや、実際には**“補完的な干し場所”**が必要です。たとえ1帖でも「部屋干しできる空間」があると、暮らしの質がグンと変わります。



“洗濯物”から考える、あなたの暮らし方


洗濯という家事は、単純なようで奥が深い。


洗って、干して、取り込んで、畳んで、しまう。

この一連の動線がスムーズに設計されていれば、毎日のストレスが大きく軽減されます。


逆に、「階段を上って干しに行く」「干す場所がない」「乾かない」など、ちょっとした不満が積み重なると、それは“暮らしにくさ”という大きな負荷になります。


だからこそ、新築・リフォーム問わず、洗濯動線は「暮らし方のクセ」を見える化することから始めてみてください。


  • 洗うのはいつ?朝?夜?
  • 乾かすのは外?中?乾燥機?
  • 畳んでしまう場所はどこ?


こういった問いに答えていくうちに、ご家族にとっての“ちょうどいい洗濯動線”が見えてくるはずです。


そして私たち工務店は、その“日常のクセ”をくみ取りながら、図面に落とし込むのが仕事です。


見た目のデザインだけじゃない。

家事のしやすさ、暮らしのリズムまで設計された住まいを。

そんな想いで、今日もお客様の声を丁寧に伺っています。