本当に安い?田舎暮らしのリアルな声から
「田舎って、生活費が安いんでしょ?」
移住を考える方から、私たちがよく耳にする言葉です。広い庭、静かな環境、新鮮な空気。
確かに都会にはない魅力が、ここ丹波篠山にはあります。
ですが、長年地元で暮らし、そして多くの移住者の方をサポートしてきた私たちが感じるのは、
「田舎暮らしは、安くもあり、高くもある」という現実です。
夢を抱いて移り住み、自然に囲まれた暮らしを楽しむ方がいる一方で、
「思ったよりお金がかかる…」と戸惑う声も少なくありません。
このコラムでは、地元工務店としての目線から、実際に移住後にかかる光熱費・車の維持費・地域に根ざすための費用など、“生活のリアル”をお伝えします。
「知らずに失敗する」よりも「知って備える」ことができれば、田舎暮らしはきっと、人生を豊かにしてくれるはずです。
1. 安く手に入る家。その先に待つ「住める家」への道
田舎では、空き家や中古住宅が驚くほど安く手に入ることがあります。
都市部なら数千万円するような土地付き戸建てが、数百万円ということも。
実際、私たちが関わった事例でも、「土地付き古民家が200万円で手に入った!」と目を輝かせる移住者の方がいらっしゃいました。
ただし──そこからが本当のスタートなのです。
購入当初は「自分たちで手を入れながら、のんびり直していけばいい」と考えていた方も、住み始めてみると想像以上の不便や不具合に直面するケースが多いのです。
例えば、
- キッチンやお風呂の配管がサビついていて使えなかった
- 隙間風がひどく、冬は室内でもダウンコートが手放せなかった
- 屋根裏にハクビシンが住み着いていた
など、ちょっと笑えない“サバイバル生活”から始まることもあります。
実際にリフォームを進めるとなると、水回りの刷新、断熱工事、床や壁の張り替え、屋根の修繕など、1,000万円近い費用がかかる場合も。
「家自体は500万円で買えたけど、実際に住めるようにするまでに倍以上かかった」という話は、決して珍しくありません。
私たちが大切にしているのは、「家の価格」ではなく「暮らしの総コスト」まで視野に入れた提案です。
最初の見た目の価格に飛びつくのではなく、「どんなふうに暮らしたいか」から逆算することが、田舎暮らしを失敗させないポイントだと感じています。
2. 光熱費のリアル。自然=快適とは限らない
「自然に囲まれているから、きっとエアコンなんていらないですよね?」
移住を検討される方から、こんな声をいただくことがあります。確かに、森や田畑に囲まれた風景、夜は虫の声、朝は鳥のさえずり。とても穏やかで心地よい時間が流れています。
でも実際に住んでみると、自然の厳しさも一緒についてきます。
丹波篠山は山に囲まれた盆地、夏は猛暑、冬は厳寒。
(だからこそ、黒豆が美味しい)
特に古民家や築年数の経った住宅では、
- 壁や窓からの冷気・熱気がダイレクトに室内に入ってくる
- 冷暖房が効きにくく、光熱費がかさむ
- 湿気・カビ・結露対策が必要
といった課題が頻発します。
実際に、
夏:エアコン2台稼働+除湿機=電気代 約2万円
冬:灯油ストーブ+電気ヒーター=電気代+灯油代で約3万〜4万円
という家庭も少なくありません。
さらに、薪ストーブに憧れて導入された方からも、「薪代や乾燥、煙突掃除など、思ってたより大変」との声が寄せられます。
この問題を和らげるには、
- 二重サッシの導入
- 断熱材の追加(床・壁・天井)
- 太陽光パネル+蓄電池の併設
などが効果的ですが、いずれも初期費用がかかります。
「自然と共に暮らす」という言葉は美しいですが、それは「自然に耐えうる家」であってこそ。エネルギーコストは、田舎暮らしの“見えにくい落とし穴”の一つかもしれません。
3. 車の維持費は“想像以上”に重い現実
都市部に暮らしていると、駅前に住んで、移動は電車か自転車。車はカーシェアで十分!というスタイルも一般的になっています。
でも丹波篠山では、それはちょっと難しい。
- 最寄りのスーパーまで片道10km以上
- 駅までのアクセスが悪い
- 子どもが部活の朝練や塾に通う場合の送迎が必要
という条件が揃っていると、車は一家に一台どころか「一人一台」が当たり前になってきます。
すると当然、
- 車検費用:7万〜12万円(2年ごと)
- 任意保険:年間4万〜7万円
- ガソリン代:月1〜2万円(距離次第)
- 冬用タイヤやスタッドレスタイヤ:3年ごとに交換で5万円以上
といった費用が継続的に発生します。
さらに、農作業やDIY、薪の搬入などをするために軽トラやミニバンを所有する家庭も多く、維持台数が増えれば当然コストも倍増。
車があるから自由に暮らせる反面、維持するには相応の覚悟と計画が必要になります。
「月々のガソリン代で光熱費がもう一軒分あるような気分になる」
そんな本音も、移住された方のリアルな声なのです。
4. 地域でかかる“思わぬ費用”と心の準備
田舎暮らしには、“目に見えるお金”とは別に、“生活の中で自然と出ていく出費”もあります。
● 地域に馴染むための“心のコスト”と実費
- 自治会費(組費):年5,000円〜3万円程度
- 水路の掃除や草刈り、祭りの手伝い
- 時には寄付や協賛を求められる場面も
もちろん、強制ではありません。ただ、地域に根ざした暮らしを望むなら、「お金ではなく“時間と気持ち”で支払うものがある」という認識は大切です。
「えっ、これって必要なんですか?」と戸惑われる方も少なくありません。
でもその先には、
- 困った時に助けてくれるご近所さん
- 野菜をおすそ分けしてくれる農家のおばあちゃん
- 子どもが伸び伸びと育つ“人のつながり”
があります。
● 家のまわりのメンテナンスコスト
自然に囲まれた暮らしは癒やされますが、
- 雨どいの掃除
- 落ち葉の片づけ
- 雪や風害への備え
など、「自然がもたらすメンテナンス」もセットでついてきます。
業者に頼めば費用がかさみますし、自分でやるなら脚立やチェーンソー、長靴、草刈り機といった装備も必要に。
● 利便性のギャップを埋めるための出費
- 通信環境を整えるための工事やWi-Fi中継器
- 医療機関が遠いための通院交通費
- 通販頼りになってしまうための送料
これらは、“都会にはなかったけれど、田舎では必要になる支出”です。
想定していなかった支出に驚くことがないよう、事前に知っておくことが心構えになります。
5. 現実を知ってこそ、豊かな田舎暮らしが始まる
ここまで、田舎暮らしにまつわるさまざまな「出費」について正直にお話ししてきました。
けれど、私たちはそれでも胸を張って伝えたいのです。
「田舎暮らしには、それを上回る価値がある」と。
- 家族で思い付きBBQや焚き火を囲む夕暮れ
- 庭先で採れたトマトをかじる子どもの笑顔
- 夜空に広がる満天の星
- 土の匂い、風の音、季節の移ろい
都会では“買って手に入れるもの”が、田舎では“暮らすことで感じられるもの”になる。
その実感は、何ものにも代えがたい財産です。
そして、そうした暮らしを“続けていく”ためにこそ、生活コストの現実を知り、備えておくことが大切なのです。
コストを知れば、備えられる。夢は現実の上に育つ
田舎暮らしは、本当に安いのか?
答えは、「安くもなり、高くもなる」。
つまり、「どこにお金をかけ、どこで工夫するか」を自分で選べるのが、田舎暮らしの最大の魅力でもあるのです。
リフォームを含めた住宅費の全体像を把握する
車の維持費を無理なく支払えるか試算しておく
地域との関わり方を想像しておく
そうした“準備”こそが、田舎での暮らしを長く楽しく続けていくための一歩になります。
私たち有限会社クレアは、地元・丹波篠山に根ざした工務店として、家づくりだけでなく、暮らし方そのものに寄り添ったご提案を大切にしています。
「住む」だけではなく、「生きる場所」を探している方へ。
田舎暮らしのリアルを、一緒に見つめていきましょう。