電気代が高くて寒い家【丹波篠山市|有限会社クレア】

2月になると、寒さにもだいぶ慣れてきたようでいて、実は家計にはじわじわ効いてくる時期でもあります。朝起きた瞬間の冷え込み、脱衣室に入るときの覚悟、エアコンをつけているのになんだか足元だけ寒い感じ。そんな毎日の積み重ねの先に、電気代の請求を見るタイミングがやってきます。


「今年は高いなあ」

「暖房を我慢してるのに、なんでこんなにかかるんやろ」

「隣の家も同じくらいの大きさに見えるのに、あっちはそこまで高くないらしい」

こんな声は、実際によく聞きます。


もちろん、電気料金そのものの変動はありますし、家族の人数や在宅時間、使っている暖房機器によっても差は出ます。ただ、工務店の立場から見ていて思うのは、冬の電気代のしんどさは、単純に「使いすぎたから」だけでは説明できないことが多い、ということです。


同じように暖房を使っていても、電気代が高い家と、そこまで高くない家がある。しかも、その差は、住む人の気合いや節約意識より前に、家そのもののつくり方や、暮らし方との相性で生まれていることが少なくありません。


今回は新築やリフォームでどこをどう考えると冬が少しラクになるのか。そんな話を、なるべく難しい言葉を使わずに、現場感のある目線で書いてみたいと思います。

「うちの家だとどうやろう」と思いながら、気楽に読んでいただけたらうれしいです。


電気代が高い家は、本当に暖房を使いすぎているのか


まず最初にお伝えしたいのは、「電気代が高い家=暖房を使いすぎている家」とは限らない、ということです。たしかに、設定温度が高すぎたり、古い暖房機器を使っていたり、つけ方に無理があったりすれば、それは電気代に出ます。でも、現場で見ていると、もっと根っこのところに原因があることも多いんです。


たとえば、同じくらいの広さのLDKでも、エアコン1台で比較的落ち着いて暖まる家もあれば、ずっと運転しているのに、なんとなく寒くて結局ファンヒーターやこたつも出してくる家があります。どちらも暖房を使っているのは同じです。でも、暖まり方が違う。言い換えると、暖房の「効き」が違うわけです。


これは機械の性能差だけではありません。大きいのは、暖房でつくった熱を、家がどれだけ逃がしにくいかです。


例えるならば、お風呂のお湯をためているのに、栓がゆるくて少しずつ抜けていくようなものです。お湯は足せます。でも、抜け続けるから、なかなか落ち着かない。冬の電気代が高くなりやすい家は、熱の扱い方がこれに近いことがあります。暖房を頑張っているのに、窓や壁、床や天井、あるいは見えないすきまから熱が逃げていく。そうすると、暖房機器はずっと頑張らないといけないし、それでも快適になりきらない。これがいちばんやっかいなところです。


請求額が高いだけならまだしも、「高いのに寒い」。これは本当に堪えます。リビングは何とか過ごせても、廊下は冷える。脱衣室に行くと急に現実に戻される。トイレに行くのがおっくうになる。朝、家の中なのに上着を探す。こうなると、電気代の話はお金の話だけではなく、毎日の暮らしの話になります。


だから私は、冬の電気代のことを考えるとき、「どう節約するか」だけではなく、「この家は熱をためやすい家か、逃がしやすい家か」を見ることが大事だと思っています。家が寒がりだと、住んでいる人まで余計に我慢することになるからです。


違いの出発点は、やはり断熱にある


その違いのいちばん基本になるのが、やはり断熱です。断熱というと少し専門用語っぽく聞こえますが、要するに、外の寒さの影響を受けにくくして、室内の暖かさを逃がしにくくする工夫です。家に厚手の服を着せるようなもの、と考えてもらうとわかりやすいかもしれません。


冬は、室内の方が外より暖かいので、放っておくと熱は外へ逃げていきます。これは自然なことです。問題は、その逃げ方が速いか遅いかです。断熱が弱い家ほど、せっかくつくった暖かさが外へ逃げやすい。すると、同じ室温に保とうと思っても、暖房が何度も、あるいは長く働かないといけません。結果として電気代がかかるし、しかも快適さも安定しにくい。こういうことが起こります。


ここでよくあるのが、「今どきの家なら、どこもそこそこ暖かいんでしょ」という感覚です。たしかに昔に比べると、全体としては良くなっています。でも、同じ“今どき”でも差はありますし、既存住宅ではなおさら差が大きいです。見た目がきれいで設備が新しくても、断熱の考え方や窓の性能、施工の丁寧さで冬の過ごしやすさは変わります。


リフォームでも同じです。キッチンやお風呂は新しくなっていても、家全体の断熱までは手が入っていない、ということは珍しくありません。すると、見た目は新しくなったのに、冬の寒さはしっかり残っている。これは住んでから「あれ?」となりやすいところです。


一方で、断熱をしっかり考えた家は、劇的な派手さはなくても、じわじわ効きます。エアコンの立ち上がりが早い。切ったあとも急に冷え込みにくい。朝の室温の落ち方が緩やか。設定温度を必要以上に上げなくて済む。そういう小さなラクが毎日積み重なると、冬の電気代も変わってきます。


ただし、ここで誤解してほしくないのは、「断熱は厚ければ厚いほど正義」という単純な話でもない、ということです。家づくりには予算があります。性能だけをどこまでも追いかければ、当然コストは上がりやすい。逆に、初期費用を抑えようとして性能を削りすぎると、今度は住んでから毎年しんどい。家づくりは、このバランスを見る仕事でもあります。


理想を言えば、全部しっかりやるのが一番です。でも現実には、限られた予算の中で、どこに優先的にお金を使うかが大切になります。私はこの「どこに効かせるか」を見極めることが、工務店の腕の見せどころだと思っています。


実は差が出やすいのは、窓まわりです


その中でも、冬の電気代や寒さの差がかなり出やすいのが、窓まわりです。寒い日に窓の近くへ行くと、何となくスーッと冷える感じがすることがありますよね。あれは気のせいではありません。窓は、壁や天井に比べて熱の出入りが起こりやすい場所です。特に古い家で、単板ガラスやアルミサッシが中心だと、冬の熱が逃げやすく、冷えの原因になりやすいです。


昔の家には昔の家の魅力があります。風が通る。庭とのつながりが気持ちいい。大きな掃き出し窓があって明るい。縁側に座ると妙に落ち着く。そういう良さは本当にありますし、私も好きです。ただ、冬の温熱環境だけで見ると、その魅力と引き換えに寒さを受け入れている部分があるのも事実です。


ここで大事なのは、「大きな窓は悪者」と決めつけないことです。南側の窓で、冬の日差しをうまく取り込めるなら、むしろプラスに働くこともあります。逆に、北側や日があまり入らない場所に大きな窓があると、明るさの割に寒さを呼び込みやすいこともあります。窓は、ただ大きいか小さいかではなく、向き、性能、配置、使い方の組み合わせで考える必要があります。


リフォームの相談でも、「寒さを何とかしたい」というとき、まず効果を感じやすいのが窓です。内窓をつける、ガラスを見直す、カーテンや障子の使い方を工夫する。こうした対策は、家全体を丸ごと断熱改修するより現実的なことが多く、費用や工事の負担も比較的抑えやすいです。


もちろん、窓の工事も万能ではありません。内窓をつければ何でも解決、というほど単純ではないですし、開け閉めの手間が増えることもあります。窓が二重になることで掃除のことが気になる方もおられます。和室の雰囲気との相性を見る必要もあります。だから、性能だけ見て決めるのではなく、暮らしの中で無理なく使えるかも一緒に考える必要があります。


それでも、冬の電気代と体感温度の両方を見直したいなら、窓はかなり重要な入口です。

「うちはエアコンの能力が足りないのかな」と思っている家でも、実際には窓まわりの見直しの方が先だった、ということは本当によくあります。


断熱だけでは足りない。スキマと空気の動きも大きい


断熱の話をすると次によく出てくるのが、気密です。これも少し専門的に聞こえますが、要は「家のすきまをどれだけ少なくするか」という話です。どれだけ断熱材が入っていても、家にすきまが多いと、暖かい空気は逃げやすく、冷たい空気は入りやすくなります。分厚いコートを着ていても、前が開いていたら寒い。あの感じです。


古い家でよくあるのが、「窓は閉めてるのに、なんか寒い」という状態です。これは壁の中がどうこうというより、建具まわり、床下、換気まわり、玄関戸など、いろいろなところから少しずつ空気が動いていることがあります。足元だけ冷える、暖房を切ると急に寒い、首元にスーッとくる感じがある。こういう家は、断熱だけでなく、すきまの影響も考えた方がよいかもしれません。


ただし、これも「すきまはゼロがいい」と単純に言える話ではありません。今の家は換気も大事です。家の中の空気をちゃんと入れ替えることも必要ですから、何でも塞げばいいわけではない。必要な換気は確保しながら、余計な逃げ道は減らす。ここが本来の考え方です。


リフォームでは、このバランスが特に大事です。ある場所だけ性能が上がると、別の弱いところが目立ってくることがあります。たとえば、リビングの窓だけ良くしたら、今度は廊下や脱衣室の寒さが余計に気になるようになった、ということもあります。これは失敗というより、改善したからこそ見えてくる次の課題です。


家の寒さというのは、どこか一か所だけが原因ではないことが多いんです。窓、壁、床、天井、すきま、換気、間取り。いろんな要素が少しずつ関わっています。だから改善するときも、「これひとつやれば全部解決」と思い込みすぎない方がいい。でも逆に言えば、全部を一度にやらなくても、優先順位をつけて整えていけば、暮らしはちゃんと変わります。


間取りと暖房計画でも、電気代の感じ方は変わる


ここまで来ると、「じゃあ性能さえ上げればいいんですね」と思われるかもしれませんが、実はそれだけでもありません。冬の電気代の感じ方は、間取りと暖房計画でもかなり変わります。


たとえば最近は、広いLDKや吹き抜け、仕切りの少ない開放的な間取りを好まれる方も多いです。これはこれで魅力があります。明るいですし、家族がつながりやすい。空間に気持ちよさがある。図面を見ても、完成しても「いいなあ」と思いやすいです。


ただ、冬の暖房効率だけを見ると、こうした空間は不利になることがあります。暖める空気の量が増える。上下の温度差が出やすい。暖かい空気が上にたまりやすい。開放感には、どうしてもそういうトレードオフがあります。


ここで大切なのは、「吹き抜けはやめた方がいい」「広いLDKは失敗」と短絡的に決めないことです。問題は、採用するかどうかではなく、採用するならどう支えるかです。断熱や窓の性能をどうするのか。エアコンの位置や台数をどう考えるのか。必要なら補助暖房をどう使うのか。間取りと性能と設備を別々に考えるのではなく、セットで考えていけば、開放感と冬の快適さを両立できる可能性は十分あります。


逆に、図面を見た瞬間はきれいでも、「この家は冬にどこをどう暖めるのか」という話がぼんやりしていると、住み始めてから電気代が高くなりやすかったり、快適さが足りなかったりします。家づくりでは、どうしても間取りやデザインが先に目に入ります。でも、毎年の冬に効いてくるのは、その見えにくい部分です。


特に多いのが、リビングはそこそこ暖かいけれど、廊下・洗面・脱衣室・トイレが寒い家です。家族は一日の大半をリビングだけで過ごしているわけではありません。お風呂に入るとき、朝の身支度をするとき、夜中にトイレに起きたとき。そのたびに温度差が大きいと、小さなストレスが毎日たまっていきます。


子育て世帯なら、床で遊ぶ小さなお子さんの足元の冷えも気になるでしょうし、勉強している子ども部屋が冷えすぎるのも困ります。ペットと暮らしている家では、人より床に近いところで過ごす時間が長いので、足元の冷えや空気の流れの影響を受けやすいこともあります。そう考えると、「LDKが暖かければ十分」とは言い切れないんですね。


新築で考えたいのは、見た目の前に冬の過ごし方


新築を考えている方には、ぜひ「見た目」より先に「冬をどう過ごしたいか」を少し考えてみてほしいと思います。もちろん、外観や間取り、キッチンやお風呂の仕様を考えるのは楽しいですし、大切です。でも、住み始めてから毎年効いてくるのは、むしろ見えにくい部分です。断熱、窓、すきま、暖房計画。こういうところは、完成してから「やっぱりもう少し…」となっても直しにくいところでもあります。


だからこそ、新築の打ち合わせでは「この家で冬をどう過ごしたいですか」という話を早い段階でしておくことに意味があります。朝の冷え込みが苦手なのか。脱衣室の寒さを減らしたいのか。光熱費の月々の負担を抑えたいのか。開放感を優先したいのか。人によって答えは違います。


性能を上げるほど、一般的には初期費用は上がりやすいです。これは現実です。でも、だからといって性能はほどほどで安く建てるのが正解とも限りません。逆に、性能だけを追いかけて予算がふくらみ、別の部分を無理するのも違います。大切なのは、どこまでやると、体感と家計のバランスが取れるのか。その着地点を探ることだと思います。


性能は競争ではありません。「誰かより上」を目指すものではなく、自分たちの暮らしにとってちょうどいいところを見つけるものです。これは、工務店としていつも大事にしたい感覚です。


リフォームは、全部やるか何もしないかではない


一方、既存住宅に住んでいる方からは、「寒いのはわかってるけど、大がかりな工事は難しい」という声をよく聞きます。これは本当にその通りだと思います。住みながらの工事は負担がありますし、費用の問題もあります。家族の予定もある。何でも一気にはできません。


だから、リフォームでは「全部やるか、何もしないか」の二択で考えないことが大切です。


まずは、この家のどこがいちばんつらいのか。朝のリビングなのか、脱衣室なのか、寝室なのか、窓際の結露なのか。そこを整理すると、優先順位が見えてきます。窓から手をつけた方がいいのか、床下や天井の断熱を考えた方がいいのか、暖房機器の見直しが先なのか。これは家によって違います。


この考え方は、費用対効果の面でも大事です。家全体を大規模に改修すれば性能は上げやすいですが、その分費用も大きくなります。一方で、部分的な改修でも、やり方によっては体感がかなり変わることがあります。特に窓や天井、床下などは、比較的効果を感じやすい場合があります。


ただし、部分改修も万能ではありません。リビングだけ暖かくなって他の部屋との差が気になる、見た目はきれいになったけれど根本の寒さは残る、住みながらの工事が思った以上に大変だった。そういうこともあります。カタログにはあまり書いてありませんが、住みながらの工事は、音やほこり、家具移動、使えない時間帯など、暮らしへの影響が出ます。だから、何をどこまで改善したいのかを最初にはっきりさせておくことが大事なんです。


古い家には古い家の良さがあります。柱や建具の雰囲気、庭とのつながり、光の入り方、落ち着く空気感。そういう魅力を残しながら、冬だけ少しラクにする。これは十分あり得る考え方です。全部を新築のようにしなくても、暮らしやすさはちゃんと上げられます。


電気代だけではなく、冬の暮らし全体を見て考えたい


最後にひとつ、冬の住まいを考えるときにお伝えしたいのは、目的を「電気代を下げること」だけにしない方がいい、ということです。もちろん、月々の光熱費は大切です。毎月のことですから、じわじわ効きます。でも、寒さがもたらす問題は、お金だけではありません。


寒い家は、暮らしに小さな我慢を増やします。朝の動き出しが重い。家事が億劫になる。お風呂前後がつらい。子どもが自室に行きたがらない。ペットが暖房の前から動かない(それはそれで可愛いですが)。少し大げさに聞こえるかもしれませんが、家の寒さは、家族の動きや気分にじわじわ影響します。


逆に、暖かい家というのは、何か特別に感動するというより、「無理をしなくていい家」だと思います。厚着をしすぎなくていい。設定温度を必要以上に上げなくていい。夜中のトイレに覚悟がいらない。冬に家の中で眉間にしわを寄せる回数が減る。そういう小さなことの積み重ねです。


家づくりやリフォームの話になると、どうしても「元が取れるか」という話になりがちです。それも大事です。でも、住まいは投資商品というより、毎日使う暮らしの器です。数字に出やすい損得だけでなく、毎日どれだけラクになるか、どれだけ無理が減るかも、十分に判断材料にしていいと思います。


もちろん、何でもかんでも高性能にすればいいわけではありません。予算の都合もあるし、住まい方にも個人差があります。だからこそ必要なのは、その家、その家族にとって、どこまでやるのがちょうどいいかを見極めることです。工務店の役割は、ただ「いいもの」をすすめることではなく、そのちょうどいい線を一緒に探すことだと、私は思っています。


冬の電気代が高い家と、そこまで高くない家。

その違いは、節約上手かどうかだけでは生まれません。断熱、窓、すきま、間取り、暖房計画、そして暮らし方。いろいろなことが重なって、毎年の冬のラクさが決まってきます。


そして本当にやっかいなのは、高いことそのものより、払っているのに寒いことなのかもしれません。だからこそ、新築でもリフォームでも、見た目や設備の話だけでなく、「この家で冬をどう過ごすか」を少しだけ先回りして考えておくことには、ちゃんと意味があります。


冬は毎年来ます。これは避けられません。避けられないなら、せめて家の中くらいは、もう少しラクにしておきたい。そんなふうに思います。

家は、豪華さを競うものではなく、暮らしを支えるものです。冬の電気代の話は、その“支え方”を見直す、案外いいきっかけなのかもしれません。


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