「地元の大工さんがいるから、何かあっても安心ですよ」
そう言われると、たしかに心強く感じるものです。
地域に根ざした人がいて、何かあればすぐに相談できる環境がある。これは田舎暮らしの大きな魅力のひとつだと思います。
でも実際に移住して家を持ち、住み始めてからふと気づくのです。
「修理したいけど、誰にどう頼めばいいの?」
「そもそも、どこまでやってくれるの?」
そんな疑問や不安が、暮らしの中でじわじわと湧いてくる。
そして思っていた以上に、“家を直すことのハードル”が高かったと感じる方も少なくありません。
私たち地元の工務店には、「最初は大工さんにお願いしたけど、やっぱり頼みづらくて…」という相談がよく寄せられます。
今回は、移住先でありがちな「大工さん=安心」という考えに潜む落とし穴と、後悔しないパートナー選びのヒントをお伝えします。
■ 「紹介された大工さん=安心」…本当にそう?
移住後すぐの段階で、まず気になるのは「家の状態」です。
壁にヒビがある、水回りが古い、窓がきっちり閉まらない…。
そんなとき、知り合いやご近所さん「あそこのご主人さん大工だから、相談したらええよ」と言われれば、それはもう救世主のような存在に見えるでしょう。
でも実際に頼んでみると。。。
見積書がなく、料金の説明が曖昧だった
工期の目安がわからず、ずるずると工事が始まらない
「うちは水道はやらない」
「うちは電気は別業者を探して」
と言われ、結局、自分で複数業者を手配する羽目に。
雨の日でも屋根に登る、“昔ながら”の危なっかしい工事スタイル
こうした声や似たような話を、私たちは移住者の方からいくつも聞いてきました。
地元のベテラン大工さんたちには長年の経験があり、確かな腕を持っている方も多くいらっしゃいます。
でも一方で、法令や安全基準、現代の住宅性能、工事工程の透明性といった部分での現代のスタンダードとのギャップが、どうしても出てきてしまうのです。
とくに築年数の古い空き家や古民家の場合、断熱・耐震・給排水・下地の腐食など、表から見えない部分にこそリフォームの要点があります。
そこを把握せず「ここだけ直せば住める」と思ってしまうのは、とても危険です。
■ 実際の相談:「頼んだけど、うまくいかなかった…」
私たちが相談を受けたご夫婦は、移住後に古民家を購入され、近隣の方から紹介された大工さんに「キッチンを新しくしたい」と依頼しました。
ところがその大工さんからは、
「台所は自分ではやらない」「水道屋さんは自分で探して」と言われたそうです。
その結果、インターネットで複数の業者を自分で探して連絡をとり、日程を調整し、材料の手配まで行うことに。
本来、工務店が担うべき「段取り」を全部ご自身でやることに。
実際の作業は職人さんにしてもらうし、日中も自宅で仕事しているので連絡位ならできるはず、と思ったものの。
「まさかここまで大変だとは思わなかった」と、途中で不安と疲労が募ったとお話しくださいました。
また別の方は、屋根の修繕を依頼したところ、
足場も安全装備もなしで2階の屋根に登る姿に恐怖を感じ、工事を中止。
「昔ながら」のやり方が、現代の暮らしにマッチしていないと感じた瞬間だったそうです。
なかには「冬は寒いから仕事しない」「雪が降ったら来ない」と言われた方もいました。
それが悪いというわけではありません。天候は人の力で変えることはできませんし、実際天候次第で危険度や作業性も違ってきますので、天候に合わせて作業することは正しくもあります。でも、移住者の生活ペースと希望の工程、それと地元の工事ペースに、見えないギャップがあるということは、頭の片隅に置いておくべきです。
■ 空き家バンク × リフォームという現実
移住相談で多いのが、「空き家バンクで見つけた家を、自分好みにリフォームしたい」というご希望です。売買価格もなんだか手が出しやすいものが多い気もします。
ですが、実際にはその家が「リフォームできる状態」かどうかを見極めるのは、決して簡単ではありません。サイト上の写真や不動産情報のみではなおさら難しい。
構造体が傷んでいたり、土台が湿気で腐っていたり、屋根や壁の下地が雨漏りでふやけているケースもあります。(ある程度は説明を受けることはできますが)
たとえば、見た目はきれいな和室でも、畳の下がぐずぐずに腐っていたり、断熱材が入っていない天井裏から夏の熱気が降りてくるようなことも。
そうした「表からは見えないリスク」まで含めて調査し、“本当に直せる家かどうか”を判断する目が必要です。
私たちは、空き家購入の前段階から同行することもあります。
「この物件はリフォームに向いているか」
「どの程度の予算が必要か」
そうしたことを見極めたうえで、家選びをサポートするのも、工務店の役割のひとつです。
■ 工務店(クレア)にできること──“暮らし全体”を見る目
工務店の仕事は、単に「家を建てる・直す」だけではありません。
私たちのような地域工務店は、設計から施工、法的手続き、アフターケアに至るまで、家を中心とした“暮らし全体”に関わることをお手伝いしています。
たとえば、建築士がご家族の生活スタイルや将来の変化を聞き取りながら、動線・採光・断熱・収納・耐震性をトータルで考えた設計をご提案します。
施工段階では、施工管理技士が工程や安全、品質をチェックしながら、電気・水道・ガスといった専門工事も自社一括管理でスムーズに連携します。
さらに、住みながらのリフォームを希望される方には、仮設トイレ・キッチンの手配や工事スケジュールの配慮も可能です。
朝の出勤時間や子どもの昼寝時間にあわせて作業音を調整することもありますし、「この週だけは避けてほしい」といったご相談も柔軟に対応しています。
工事後のフォローも重要です。
実際に住んでみてから「ちょっと寒い気がする」「この収納、やっぱり増やせる?」というご相談は少なくありません。
暮らしとともに変化するニーズに寄り添い、アップデートし続けられるのが“工務店とのつながり”の価値だと私たちは考えています。
■ 「なんでも相談できる場所」としての工務店
移住先では「どこに相談したらいいのかわからない」という悩みがつきものです。
補助金の申請は? 水道の引き込みは? 農地転用が必要?──家づくりをめぐる周辺の課題は、予想以上に多岐にわたります。
私たちクレアは、建築・リフォームはもちろん、不動産仲介や土地に関する相談、農地転用や行政手続きのサポートまでワンストップで対応しています。
いわば“地域の生活インフラ相談所”のような立ち位置を目指していて、LINEやSNS、メールでもやりとり可能です。
とくに移住者の方にとっては、「まだ顔見知りも少なくて相談しづらい…」という空気があるかもしれません。
でも、家のことを入り口にして、地域とつながる“糸口”になれるのが工務店の強みです。
「こんなこと聞いていいのかな?」と思うことほど、気軽にご相談いただければと思います。
■ 「地元の大工さん」は頼れる。でもそれだけで安心ではない
地元の大工さんには、長年の経験と技術、そして地域の人からの信頼があります。
これは本当に素晴らしいこと。
でもその信頼は、「家のすべてを任せられる」こととは少し違うのです。
“誰に任せるか”で、その後の暮らしが大きく変わる。
これは、たくさんの移住者の方々と関わってきた中で、私が確信していることです。
「地元の大工さんに任せて大丈夫?」──
その問いに対する私の答えは、
「頼れるところは頼って、補えるところは補いましょう。そのために、工務店があります」ということ。
理想の暮らしは、信頼できるパートナーとの二人三脚で、少しずつカタチになっていきます。
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